いまさら聞けない“千曲川ワインバレー”って?
NAGANO WINEブランドを育てる「信州ワインバレー構想」
かつては国産ワインといえば山梨県が有名でしたが、温暖化によって醸造用ぶどうの適地は北上しています。
そして今、国内のワインコンクールでは、長野県や北海道の作り手が上位を占めるまでになりました。さらに、海外からの賓客を迎える晩餐会でも提供されるなど、長野県産のワインの評価は高まる一方です。
東御市を含め、長野県はワイン醸造用ぶどうの生産量で日本一※を誇っています。
長野県では、長野県産のワインを「NAGANO WINE」とし、世界市場も視野に入れたブランド化を進めました。2013年からは県内のワイナリーを「信州ワインバレー」として束ねNAGANO WINEの育成を加速させています。
信州ワインバレーはさらに4つのエリアに分かれており、北信・東信エリアの「千曲川ワインバレー」、松本から安曇野にかけての「日本アルプスワインバレー」、全国的に有名な産地である塩尻市にある「桔梗ヶ原ワインバレー」、南信エリアの「天竜川ワインバレー」があります。
また、2002年からはじまった「長野県原産地呼称管理制度」は、ワイン、日本酒、米、焼酎、シードルなど長野県で生産された農産物の高い品質を保証し、責任と自信を持って消費者にアピールしています。
特にワインは、厳しい審査を通過して認定されると「長野県原産地呼称管理制度認定ワイン(N.A.C.ワイン)」と名乗ることができます。
※農林水産省 平成25年産特産果樹生産動態等調査
千曲川ワインバレーとは?
信州ワインバレーのうち、東信から北信地域にかけて千曲川沿いに広がるエリアが「千曲川ワインバレー」と命名されています。
降水量が少なくて日照時間が長く、水はけのよい土地はぶどう栽培に適した地質という、ワイン作りに最適なエリアなのです。
また、メルロー、シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワールといった欧州系品種の栽培に適しているという特徴もあります。
近年は、北信地域の高山村、東信地域の小諸市、そして東御市を中心に新しいワイナリーが急増し、まさに日本ワインの“台風の目”とも言うべき元気なエリアでもあります。
2020年1月現在、北信地域は10軒、東信地域は15軒で、合計25軒のワイナリーがあります。
生い立ちとキャラクター
千曲川ワインバレーは、古くは1942年に果実酒免許を取得した「小布施ワイナリー」、1973年に小諸ワイナリーを設立した「マンズワイン」など、日本ワイン史のはじまり黎明期を知るワイナリーが複数あります。
東御市においては、2003年に開業した「ヴィラデストガーデンファーム アンド ワイナリー」がはじまりです。エッセイスト・画家として有名な玉村豊男さんが手掛けています。
玉村さんが最初にぶどうの木を植えたのは、使わなくなった桑畑でした。北信・東信地域はかつて養蚕が盛んで、カイコのエサとなる桑畑も数多くありました。桑畑の適地は、そのまま醸造用ぶどうの適地と重なります。養蚕がすたれて消えていった桑畑が今、醸造用ぶどう畑として蘇っているのです。
千曲川ワインバレーは、大手酒造メーカーを誘致するのではなく、個人が経営する小規模なワイナリーを集積させる方向性を選びました。
ぶどうの栽培方法・品種、醸造方法、目指すワインなどに独自のヴィジョンを持つ個性的なワイナリーが集まることで、層の厚い、多面的な魅力を持つワインバレーを目指しています。
ここに来ればさまざまに個性的なワイン、バックグラウンドのある作り手に出会える――それも千曲川ワインバレーの大きな魅力となっています。
千曲川ワインバレーのワイナリー
【北信地域】・信州たかやまワイナリー (高山村) ・カンティーナ・リエゾー(高山村) ・ドメーヌ長谷(高山村) ・ MOTHER VINES(マザーバインズ)長野醸造所 (高山村) ・西飯田酒造店(長野市) ・楠わいなりー(須坂市) ・たかやしろファーム(中野市) ・サンクゼール(飯綱町) ・坂城葡萄酒醸造vino della Gatta SAKAKI(坂城町) ・小布施ワイナリー(小布施町) 【東信地域】・ヴィラデストガーデンアンドファームワイナリー(東御市) ・はすみふぁーむ&ワイナリー(東御市) ・アルカンヴィーニュ(東御市) ・リュード ヴァン(東御市) ・アトリエ デュ ヴァン(東御市) ・カーヴ ハタノ(東御市) ・ドメーヌ ナカジマ(東御市) ・496(シクロ)ワイナリー(東御市) ・ナゴミ・ヴィンヤーズ(東御市) ・レヴァン・ヴィヴァン(東御市) ・アン・ワイナリー(小諸市) ・ジオヒルズワイナリー(小諸市) ・マンズワイン 小諸ワイナリー(小諸市) ・メルシャン・シャトー椀子(マリコ)ワイナリー(上田市) ・ファンキー・シャトー(青木村) |
まとめ
日本でつくられるワインは、かつては「国産ワイン」と呼ばれ、原料のぶどう果汁は海外から輸入したものも含まれていました。今は「日本ワイン」という、日本で育ったぶどうを原料として国内で醸造されたワインが増えています。
千曲川ワインバレーは「日本ワイン」が多く、新規参入者はブドウ栽培から自分で手掛ける「ワイン・グロワー」がほとんどです。自前のワイナリーを持つ人はまだまだ少ないですが、まずはぶどう栽培からはじめていつかはマイ・ワイナリーを、と夢見ている作り手は数多くいます。
東御市の勢いは特筆すべきものがあり、これからますます注目が集まりそうです。
見学、ワイン販売、テイスティングをやっているワイナリーもあるので、ぜひ足を運んでみてください。