上郷ネオポリスとの住民交流がスタート
長く生きられる時代だからこそ「繋がる」「楽しむ」
超高齢社会となった日本。2030年には人口の約30%が65歳以上になると言われています。そんな日本に暮らす私たちが耳にするのは「人生100年時代」や「老後2000万円問題」といった言葉。長生きできることに対してマイナスになるような現実を目の当たりにして、不安になる方も多いように見受けられます。
地域によっては若年層が減り、過疎化が進んで地域コミュニティが成り立たない場所もあります。もう一度盛り上げるためには、人の力が必要になるのも事実。不安要素が増える・・・と感じても仕方ありません。
しかし、本当に「長生きできることは不安ばかり」なのでしょうか。私たちが目にする65歳前後の方たちに、「高齢者」という言葉がピッタリあてはまる方がどれだけいるのでしょう。「団塊世代」「ポスト団塊世代」と言われる方たちは、戦後の高度経済成長期に中心となって日本をけん引し、今の豊かな暮らしの礎を作ってきたのです。パワフルでアクティブ、とても意欲旺盛で積極的にさえ感じられます。
そんな頼れる先輩世代が中心となって行われたのが、今回の「まちづくり交流」。
一般社団法人長野県観光機構と大和ハウス工業株式会社が指揮を取って長野県東御市と神奈川県横浜市の上郷ネオポリスが手を組み、それぞれの地域活性化のためにプロジェクトを始めました。
人生100年時代とは、退職後にたっぷり自分の時間を楽しめる時代が来たということ。
町と町、人と人が繋がってお互いの意見を交換し合い、より良い楽しいまちづくりを目指しています。
同じ思いの人たちが出会い、ワインが「人と人をつなぐ」
1991年に画家でエッセイストの玉村豊男さんが、東御市はワイン用ぶどうの栽培に適した環境だと、約500本の苗木を植えたところから、東御市のワインの物語は広がりを見せました。東御市にある田沢地区。ここには、有志の住民が集ってできた地域活性化のためのプロジェクト「田沢おらほ村」があります。村に人の流れと経済を戻そうと、約6年前にスタートしたプロジェクトで、「関酒店」の復活や民泊「清水さんの家」の開業など、様々な人の協力を得て一歩ずつ進んでいます。
今回、東御市と上郷ネオポリスとの交流を記念して、玉村さんは自身のワイナリーで出来た2018年度のワイン(プリマベーラ メルロー(赤)・シャルドネ(白))にオリジナルラベルを付けました。
このラベルには、上郷のバラと東御のぶどう畑、そして楽しそうに作業をする親子3世代が描かれています。これからの交流が、孫の代、ひ孫の代まで続くようにというみんなの願いが込められているのです。
上郷の方たちが田沢地区を訪れた、観光ツアー。最初は少し緊張気味なところもありましたが、それぞれの思いは同じ、明るい雰囲気で会話が始まります。
ヴィラデストワイナリーでは、実際にワイン用ぶどうの栽培を見学していただきました。
上郷の方たちに、少しでも田沢を身近に感じて欲しいという思いを伝えます。
田沢の鎮守である美都穂神社も見学。御柱祭も行われる神社で、境内には6メートルを超えるけやきの木があり、これからの発展を願ってお祈りしてきました。
濃い時間となった民泊「清水さんの家」での意見交換会。
それぞれの地区が抱える問題を出し、今後どのように取り組んでいかれるか、真剣な眼差しが印象的です。
意見交換も重要ですが、同じ時間を共有し味わうことも大切。
終わった後の会食は、ワインの香りと笑顔に包まれた時間となりました。
こちらは別日に行われた試飲会。ともにワインの知識を学び、初対面の緊張が解けた会場は笑顔で溢れ、それぞれの地域の人達がさらに親睦を深める機会となっています。
世代を超えた発展と、さらなる交流の広がりへ
実際に田沢に足を運んで、田沢の暮らしを見ること。観光するだけでなく、田沢の風土や人に触れて「第二の故郷」へ帰るような気持ちになってもらうこと。「ワインを通じて両地域の交流が深まり、それぞれが抱える課題をクリアにしていくことが大切だ」と、メンバーの皆さんは語ります。
ワイン用のぶどうは、一度植えると収穫までに3~4年かかります。そこからおいしいワインになるまで10年ほど。さらにぶどうの木は50年以上生きるので、一世代で終わってしまうものではありません。ぶどうの木の近くで遊んでいる子どもたちが大人になるころ、今ついている実から出来たワインを飲めるようになるのです。
ワインがつなぐのは地域だけではありません。親から子、孫へと時間を超えた交流ができるというロマンがあります。田沢と上郷が手を取りあい、次の世代、さらにその次の世代へとさらなる発展へ繋がる、暖かい交流がスタートしています。

さあ、より楽しいこれからの人生を一緒に見つけてみませんか?