「ナチュラルワイン」の世界から見る東御ワイン
ナチュラルワインとは?
ここ数年、「ナチュラルワイン」「自然派ワイン」という言葉をよく聞くようになりました。ワイン売り場に行くと、「bio」「有機」などのラベルが貼られているワインも。
ナチュラルワインに厳密な定義はありませんが、大枠としては栽培から醸造までなるべく化学物質に頼らず自然の力で作られたワインを指します。
ヨーロッパを中心に「エコセール」「ユーロ・リーフ」などのオーガニック認証もあります。(認証を受けていないナチュラルワインもたくさんあります)
ナチュラルワインの現在地と魅力
今回お話を伺ったのは、上田市でナチュラルワイン専門のワインショップとビストロ料理の店「Fika」を営む、坂田智広さんです。
坂田さんは6~7年前に、東京のワインバーで1本のナチュラルワインに出会ったことで、のめりこんでいったそうです。
2012年に開業した「Fika」では、当初は様々なワインを扱っていましたが、今はナチュラルワイン専門店として、実店舗だけでなくオンラインストアでもファンを増やしています。
坂田さんは、ナチュラルワインの定義をあまり厳密に捉えず、「栽培においては化学肥料や化学合成農薬を、醸造では酸化防止剤(亜硫酸)を使わないというのがひとつの目安になる」と考えています。
ナチュラルワインの魅力は、どんなところにあるのでしょうか。
「ナチュラルワインをいろいろ飲んでいくと、通常のワインよりも造り手の個性や性格がより出ていることに気づきます。また、ワインが主張しすぎるのではなく、料理に寄り添ってくれるのもナチュラルワインの特徴です」(坂田さん)
Fikaの取引先には和食や中華のお店もあり、ナチュラルワインの懐の深さを証明しています。
「世界では、一流レストランで扱っているのはほぼナチュラルワインという状況になっています。いいものを求めていったらナチュラルワインだった、という感じですね。日本の飲食店では、ブームになっているから1~2本置いておこうか、というところがまだまだ多いです」(坂田さん)
好きな造り手やワインをたずねると、「うーん……ひとつに絞れないですね。それぞれの良さを楽しみたいですし、好きな造り手も大勢いるので。毎年、今回はどんなワインになっているのかなと楽しみですよ」と、教えてくれました。
それでは、坂田さんおすすめの東御のナチュラルワインを教えてもらいましょう。
東御ワインのおすすめナチュラルワイン
ドメーヌ ナカジマ「ペティアン ナチュール ロゼ」
まずは、2014年にワイナリーとしてオープンした「ドメーヌ ナカジマ」。
スティルワイン(炭酸が入っていないいわゆる普通のワイン)も少量リリースしていますが、比較的入手しやすいのがこの「ペティアン ナチュール ロゼ」。
「ペティアン」とは微発泡性ワインのことで、スパークリングワインよりガス圧が弱いです。
東御産巨峰から作られた微発泡のロゼワインで、甘く豊かな香りとすっきりした辛口に、非常に親しみやすさを感じます。かわいいラベルは、オーナー中島豊さんのお姉さまの手によるものです。
ナチュラルワインらしく野生酵母で醸し、自然に発生する炭酸と酵母のオリをそのまま閉じ込めています。酸化防止剤は無添加。アルコール分は10%。
開栓してすぐはピチピチした食前酒として、炭酸が消えてからはまろやかな味わいを楽しめる、“一粒で二度おいしい”ワインです。
グラスに注ぐと、酵母のオリが混ざって薄く白濁したロゼ色をしています。
豊富な酵母や乳酸菌と合わせて、和洋問わず発酵食品を使った料理を組み合わせるのがおすすめです。
アパチャーファーム×ドメーヌ・ムラヤマ「マーノ K」
こちらは、東御の造り手がコラボレーションしたワインです。
「アパチャーファーム」の田辺良さんと、「ドメーヌ・ムラヤマ」の村山公基さんがそれぞれに育てた巨峰、シュナン・ブランを使用。アルコール分は9%です。
こちらも前出のドメーヌ ナカジマと同じく「ペティアン」で、野生酵母で発酵させて、酸化防止剤は無添加です。ボトルが透明なので、下に酵母のオリが溜まっているのがよく見えます。
「マーノ」には「マーノ H」もあり、そちらはロゼ(無発泡)としてリリースされています。
KとHはお二方それぞれのお子さんの名前からとっているのだとか。
アパチャーファームは、ワイナリーはこれからですが、すでに自社ブランドとしてワインをリリースしています。
ドメーヌ・ムラヤマは、もともと生食用ぶどうの生産者だった村山さんが、2019年から醸造用ぶどうにもチャレンジしはじめたところです。
どちらも、これからが楽しみなナチュラルワインの造り手です。
レヴァン ヴィヴァン
2019年にワイナリーとしてオープンしたばかりの「レヴァン ヴィヴァン」。
ワインはまだリリースされていませんが、坂田さんが今後を非常に楽しみにしている、東御のナチュラルワインの造り手です。
代表の荻野貴博さんは夫婦で2015年に東御市に移住し、2016年からぶどう数種の栽培をはじめます。最初からナチュラルワインを志し、「心地いい、カラダにしみこむようなワインづくり」を目指してワイナリーを開業しました。
今年2月に、まずは自社畑で収穫したりんごが原料の発泡酒「シードル」をリリース予定です。
まとめ
ワイナリーが急増している東御ですが、ナチュラルワインの造り手はあまり多くありません。その理由は、非常に手がかかり、リスクが大きいからです。
造り手は、ライフスタイルにも関わり一生をかける甲斐がある点に、ナチュラルワインを作る意味を見出しているようです。飲む側でも、オーガニックという希少性や味だけでなく、そういった側面にも魅力を感じている人は多いのではないでしょうか。
ちなみに坂田さんは、あくまで味わいがよく個性を楽しめることに重きを置いて、ナチュラルワインと付き合っているそうです。
世界的なオーガニック志向の流れの中で、これからが注目の「ナチュラルワイン」。
ぜひ、ナチュラルワインならではの個性的で奥深い味わいを体験してみてください。
DATA
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Fika
住所:長野県上田市中央2-24-4
電話:0268-71-0848
営業時間:18:00~23:00(21:30ラストオーダー)
定休日:月曜日・木曜日
http://fikas.net/◇Sunday Apero:毎週日曜12:00~15:00(14:00ラストオーダー)
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Fika Bottle Shop
営業時間:12:00~17:00
定休日:月曜日・木曜日
※Fika、Fika Bottle Shopともに、営業日はFikaホームページやSNSでご確認ください。
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